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法女性学との出会い

女の子は結婚すると相手の姓に変わるもの、と教えられて育ち、何の疑問も持ちませんでした。

「百瀬」という姓は、郷里の松本では極めてありふれた姓で、1クラスに4人集まることもあります。そんな事情もあり、結婚して姓が変わった方が、区別がつくようになってよい、くらいに考えていました。

百瀬や小林、上条など、地元に多い姓はクラスや部活に必ず複数いるので、下の名前で呼ぶのが普通でした。

18歳から東京の大学に進学しました。すると、同姓の密集問題はなくなり、「モモセ」「モモちゃん」などと姓の方で呼ばれることも増えました。

最初は抵抗があり、下の名前で呼んでほしいと思いましたが、そのうち、「百瀬」も私の識別記号と考えるようになりました。

法学部生だった私は3年次に「法女性学」という講義をとりました。今でいうところの「ジェンダースタディ」ですね。

沖縄出身の弁護士である金城清子先生の講義内容は、とても新鮮で興味深かったです。

その中で、選択的夫婦別姓問題を学びました。

民法750条では男女どちらかの姓を選択して結婚する、と平等なように書かれていますが、現実問題として、戦後民法になって75年後の現在でも96%の妻が改姓するという、現実の「夫姓選択の同調圧力」が廃れません。

そして、夫婦の間では、一人は婚前と何も変わらずに暮らしていけるのに、もう一人は結婚の説明をあちこちで余儀なくされ、数多くの氏名変更手続きに追われる、という大きな不公平が横たわります。

その後、金城先生と有志の女性数名で食事をする機会があり、さらに話を深めることができました。

いつしか、結婚することがあっても姓を変えたくない、「百瀬」も「まなみ」も、両方揃ってこそ自分を表す大切な名前、と思うようになりました。