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土地の相続人は誰?

地方にお住まいのMさんは、長男である夫が自分の両親との同居を希望し、実家の土地に住宅を新築しました。建築費用は主に夫が負担し、建物は夫名義で登記しました。

その後、子どもも生まれ、広い住宅に親子三代で暮らしていました。やがて夫の父が亡くなりました。夫は3人きょうだいでしたが、これといった財産は土地だけだったため、すべて母が相続しました。

そうこうしているうち、夫の妹がシングルマザーとなって実家に戻ってきました。実の娘が同居することになると、夫の母も気楽に接することができるため、母子の関係が強まっていきました。一方で、息子の嫁であるMさんの居心地はだんだん悪くなってきました。

同居が困難になり、Mさん夫婦は別に家を構えることにしました。実家の建物は、母に廉価で譲渡し、名義も移しました。

遺産分割協議の際、分けやすい現預金が少なくて現住不動産以外にめぼしい財産がない場合、私のモットーとしては、「親と同居したり、密接に世話をしたきょうだいには、不動産を譲るなど、必ずしも法定相続通りではないにしても、円満な分け方をしてほしい」とお願いしております。もちろん、同居しないきょうだいでの不動産の共有はお勧めできません。

理想を言うと、その道筋を、親御さんが心身ともにしっかりしているうちに遺言で示しておいてほしいのです。遺言は最強の意思表示です。

Mさん夫婦のケースでは、妹さんが今後も母親の世話をすることになるでしょうが、これまでのいきさつを考えると、妹さんに土地を全部、という流れは他のきょうだいからして、納得性が低いように思えます。

この先の相続でどのような展開になるかが心配です。