新宿の小劇場にて
これは時期をはっきり覚えていないのですが、就職後であることは間違いなく、そうすると、西武池袋線の石神井公園駅から有楽町線の平和台駅への転居後のことになります。
韓国から話題の劇団が来るということで、会社帰りに新宿の小劇場に見に行きました。
狭い会場がそれはそれは大入り満員となっていて、私は舞台に向かって左端の通路で立ち見でした。それも、前後の人とぴったりくっつくようなありさまです。
いつしか、後ろの男がおしりを触り始めました。
あいにく、両手に荷物を持っていて、男の手を払うことができません。芝居を見ているので、大きな声を出しては他のお客さんに迷惑です。
男はだんだん調子に乗って、触り方が激しくなってきます。
前の人ともくっついていて動きにくかったのですが、やっとのことで、右手に持っていたものを左手にまとめて、右手を自由にしておきました。
そのうち男が、ハアハア言いながら私のスカートをめくり上げ始めました。放っておいたら何をされるかわかりません。
「いい加減にしろよ、この痴漢野郎!」と叫び、顔面に肘鉄をくらわし、よろめいたところへ、左こめかみに渾身のストレートパンチを打ち込みました。
すると、あんなに密着していたのに、後ろが30センチくらいあいてすっきりしました。
芝居が終わったら警察に突き出そうかと考えていたのですが、途中で突然、「ちょっと失礼します」などと言い、男は無理やり人をかきわけ、会場を出て逃げてしまいました。
このとき着ていたのが青いツーピースだったのは記憶しているのですが、芝居の内容を全然覚えていないのが悔しいです。