開業のススメ
厳密には行政書士としての受任案件の相談事例ではないのですが。
私ども東京都行政書士会目黒支部の会員は、毎月第一月曜日午後に、目黒区役所で無料相談会を担当しています(現在は予約制)。
まだ予約制でなかった頃、
「行政書士試験に合格した者なのですが」
と、区内在住の男性が相談室を訪れました。
聞けば、あまり事務仕事の経験もなく、いきなり独立するには自信がないため、どこか事務所でしばらく業務を教わってから開業したい、とのことです。
そこで、補助者を募集している事務所に履歴書を送っているものの、なかなか声がかからない、という話でした。
目黒支部には補助者を募集するほど規模の大きい事務所がほとんどないため、他地区の大手事務所に応募していたようです。
最初から独立開業となると、誰でも腰が引けますよね。同様に、修行先を探す人もときに見かけます。
でも、経験者から言わせてもらうと、
「すぐに開業すべきです」
この一言に尽きます。
開業の手続きをして東京都行政書士会の一員になると、毎月の会報をはじめ、さまざまな情報が来るようになりますし、研修も受講できます。また、自動的に事務所の所在する支部のメンバーとなりますので、支部の先輩になんでも質問できるようになります。
どこかに勤めるだけでなく、開業することで初めて得られる情報もあるということです。そして、仕事量はそれほどでなくても、「〇〇年に登録しました」というキャリアは積み重なっていきます。
「行政書士」の名刺も、開業しないと作れません。「行政書士試験合格」という名刺の肩書はあまりおすすめできません。
登録時に30万円弱の初期費用が必要で、その後の月会費も6000円~7000円かかるため、ためらいが生じるかもしれませんが、かけるだけの価値がある投資です。そこから道が開けます。
その日相談に来た男性は、残念ながら、まだ登録手続きをとっておられないようです。晴れて登録される日を心待ちにしています。